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調査・研究機関のマッキンゼー・グローバル・インスティテュートによって発表された論文によると、ChatGPTなどのAIによって、2030年までに女性が就いている職種が失われるリスクは男性よりも高いことがわかりました。
女性の約8割が他の企業へ転職を余儀なくされるか、職を失う可能性があるとされています。AIによる自動化が職場で導入されることで、女性が特に影響を受けると予測されています。
AIと置き換わるのはどんな仕事?
仕事探しサイトZipRecruiterのエコノミストJulia Pollak氏は、CNNの取材に対してこの結果はかなり驚きとしながらも「多くの人が感じていることかもしれませんが、大工、電子技師、害虫駆除など、男性が多く従事している手作業の仕事よりも、オフィスでの仕事を自動化する方が簡単です」とコメントしています。
今回の研究では、AIによって最も影響を受けるのは賃金の低い仕事であり、こういった仕事には男性よりも女性の方が多く就いていると述べています。
一例として、「オフィスサポートやカスタマーサービスで多くの割合を女性はが占めていて、2030年までにオフィスサポート約370万人とカスタマーサービス約200万人の職が失われる可能性があります」と記載されています。また、女性が多く就いている販売員やレジなどの仕事、そして土木技術者の職も影響を受けるとされています。
AI導入は技術者の仕事にとても役立つとのことで、「建築基準をすべてクリアさせながら、設計プロセスを早めてくれるため、エラーが少なくなり、やり直しも減る」と述べています。
また黒人とヒスパニック系労働者、大学の学位を持たない労働者、労働人口の最高齢層と最若年層も、今後10年間で新しい仕事を探さなければならなくなる可能性が高いと指摘しています。
ブルーカラーの仕事もAIによって置き換えられる可能性が高いようですが、一部のホワイトカラーの仕事も同様に影響を受ける可能性もあるようです。
ただ完全に置き換えられるわけではなく、業務を効率化し、退屈な作業に費やす時間を減らすためにAIが活用されるとのこと。
影響を受けそうな人たちがすべきこと
また、研究で指摘されているのは、AIの発展によって大きな影響を受けてしまう女性は、今の職場での重要性を保つために、新しいスキルを身につける必要だということです。
他の職種への転職を考えるのもよいとのこと。これからの労働者は、AIの導入によって出てくる課題に順応する必要があり、また企業側はAIをうまく自分の働き方に取り入れられる人材を雇用して育成していくこと、既存の従業員を成長させるためにも、社内で他の職種や役職につけてみるなどの工夫が必要となってきます。
この先、低賃金の産業全体では110万件の仕事が削減される可能性がありますが、高賃金の仕事の数は380万以上増加するとされています。
マッキンゼー・グローバル・インスティテュートのMichael Chui氏は、「全体的には恐らくそれほどの壊滅的なことにはならないでしょう。しかし、それでもほとんどすべての仕事が変わることにはなります」とBloombergの取材にコメントしています。
また、労働力情報の研究をしているRevelioの最高経営責任者であるBen Zweig氏は、CNNに対してこう語っています。
「AIについて議論するとき、仕事のタスク構成は変わらないと考えがちです。つまり仕事が仕事であり、それぞれの仕事には固定された責任があるということです。
しかし、私はこれは誤った見方だと思います。仕事は常に変化しているのです」
これからはどれだけ自分が変わりゆく状況や仕事環境に柔軟に順応していけるか、またそれに合ったスキルを身につけることを考えていく必要がありそうですね。