世界有数の高級車ブランドであるメルセデスが、ドイツ政府からハンズフリーの自動自律運転システムを公道で運用させるための承認を得ました。承認を得たのは、自動運転の先手を打っていたテスラではなくメルセデスです。
これは、自動運転の実現に向けて偉業になると米GizmodoのMack DeGeurin記者がいいます。どういうことなのか、具体的に見ていきましょう!
ドライバーはハンドルに触れずに自動運転を利用可能に
今回のドイツ政府による承認によって、メルセデスは「ドライブパイロット」と呼ばれる自律走行パッケージを販売することができるようになります。
ドイツのアウトバーンでは最高時速約60キロ(37マイル)で使用可能です。アウトバーンと聞けば制限時速が無制限なので、派手に100-200km/hとかをイメージしていたら地味に聞こえるかも知れませんが、自律運転システムで60km/hはスタート地点ということでしょう。
この承認によって、メルセデスのシステムがレベル3の自律システムを持つことの方が重要です。ドライバーがハンドルに触れることなく自動運転を利用できることを意味するからですね。
テスラでもまだハンドルを持つ必要あり
テスラのレベル2システムでは、ドライバーはハンドルを持ち、ドライバーは目でフロントガラス越しに道路を見ていなければなりませんが、このガイドラインを無視するドライバーが後を絶たない状態です。
自動運転はレベル分けされており、レベル1~2はドライバーによる監視が必要で、レベル3~5はシステムによる監視となります。(国土交通省)
ダイムラー社は発表の中で、ドライブパイロットシステムを搭載したSクラスを早ければ2022年前半に購入できるよう準備しているといいます。
有意義に使える時間が増える
このニュースは紛れもなく重要な発表です。ドライバーがハンズフリーの状態で移動できるとなれば、有意義に使える時間が増えるからです。とはいえ、レベル3の自律走行では、システムの要求に応じてドライバーが適切な対応をしなければいけません。それでも、ラッシュアワーの短時間でiPhoneのFaceTimeビデオ通話ができる未来は確実に到来してると言えますね。
テスラがビジョンを実現するのはいつ?
ここでテスラの話題にいきましょう。
広い意味で自動車産業の未来をリードするはずのテスラが、136年の歴史を持つ老舗メーカーであるメルセデスに自動運転分野において後れを取っているのは、テスラにとって悪いニュースです。かつてイーロンマスクは2020年末までに100万台のロボタクシーを稼働させると豪語していました。いま、このロボタクシーは何台走ってますか?
テスラは近未来の完全自律走行の実現を長期的な企業のビジョンにしています。そのビジョンでは、自律走行する多くのテスラタクシーが都市を徘徊し、乗客がNetflixをストリーミングしたり、最新パッチが当たった『Cyberpunk 2077』をプレイできるという世界です。このビジョンはテスラの時価総額1兆円にも何かしら影響を与えているはずです。でも、テスラはまだそこに到達できそうにありませんし、主要な自動車メーカーもです。
自律走行の自動運転に過剰な期待をするのではなく、もう少し現実を見てみましょう。
テスラの最新運転支援機能は「フルセルフドライビング」という名前がついていますが、実際に道路を走る最新のテスラでは、6段階あるレベルのうち、レベル2の自立性しか実現できていません。専門家の間では、乗客が車のコントロールを突然奪われる心配をせず、足を組んで車の中でくつろげるようになるには、レベル4の自立性が必要であるという意見が多くあります。
Waymo社、Argo AI社、Amazonが支援するZoom社、GMの子会社Cruise社などは、今後数年以内にレベル4のドライバーレス自動車を実現しようと競っていますが、ちょっと楽観的ですよね。