この夏、宇宙からでも見えた気象災害10選

  • author Molly Taft - Earther Gizmodo US
  • [原文]
  • Kenji P. Miyajima
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この夏、宇宙からでも見えた気象災害10選
Image: NASA / Gizmodo US

今年の夏ほど気象災害を身近に感じたことはなかったな…。

いつも気候変動についての記事を書いている私でさえ、衛星画像で気候危機を確認すると、地球温暖化に与えている人間の影響の大きさに衝撃を受けることがあります。干ばつ、熱波、洪水、山火事。宇宙から見た2022年夏の気象災害10選をご覧下さい。

ひとつめはこの記事のトップ画像です。メキシコ北部、Cerro Prieto貯水池の水が激減する様を捉えた画像は、2015年7月と今年7月の水位を比較しています。2015年の満水状態に対して、今年はたった0.5%まで水位が低下しました。この夏、メキシコは深刻な干ばつ状態にあって、国土の3分の2に水不足が広がり、2,100万人がその影響を受けています。

2. 水位低下が続くパウエル湖

02_Lake Powell
Image: NASA / Gizmodo US

アメリカで2番目に大きな貯水池であるパウエル湖はこの夏、気候変動を象徴する最も顕著な例のひとつになりました。米西部で続く過去1,200年で最悪の干ばつによって、パウエル湖の貯水量は5月に過去最低を記録しました。ランドサット衛星が撮影したこちらの画像は、2017年8月と2022年8月におけるパウエル湖の水位の違いを比較しています。

3. ミード湖の水位も低下の一途

03_Lake Mead
Image: NASA / Gizmodo US

米西部にとってもうひとつの貴重な貯水池であるミード湖の水位も、今夏は危険なレベルまで下がり、1937年に貯水池として利用が始まって以来最低記録しました。過去に例がないくらいまで水位が下がったおかげで、遺体沈没したボートが見つかりました。その他にも、これまで湖底に隠れていたさまざまな「お宝」が発見されています。このランドサットによる画像は、2000年7月と2022年7月におけるミード湖の水位を比較したものです。

4. ニューメキシコ州では州史上最大の山火事

04_New Mxico Fire
Image: NASA

例年よりも早い4月に始まったニューメキシコ州の山火事シーズン。2カ月間燃え続け、州史上最大の焼失面積になったCalf Canyon/Hermits Peak Fireは、米国フォレストサービスの計画的な野焼きが原因判明しました。その後、山火事の焼け跡で発生した洪水が原因で、水質汚染による飲料水不足まで起こっています。MODIS衛星による画像は、州境を超えてコロラド州まで北上する火災積雲を捉えています。

5. 縮小するグレートソルト湖

05_The Great Salt Lake
Image: Gizmodo/Copernicus Sentinel-2

ユタ州にあるグレートソルト湖の水位低下は何年も前から続いていますが、同州を含む米西部の激しい干ばつによって、今夏も最低水位を更新する事態に。州に毎年13億ドル(1,800億円)の経済効果をもたらしているグレートソルト湖の状況は最悪で、5月には州議会で太平洋からパイプラインで海水を引くまで飛び出すほどでした。こちらのグレートソルト湖が縮小する様子を捉えた画像は、コペルニクスのSentinel-2によるもので、2019年7月と2022年7月を比較しています。

6. 炎に包まれるヨセミテ国立公園

06_Yose Mite Fire
Image: NASA

カリフォルニア州のヨセミテ国立公園は、7月に激しい干ばつと暑さ、低湿度などの悪条件が重なったことで複数の山火事が発生し、樹齢3,000年の「グリズリー・ジャイアント」と名付けられるくらい有名な木を含むジャイアントセコイア数百本が危機にさらされました。7月に撮影されたランドサット画像は、焼失面積が1万9000エーカー(77平方キロ)におよんだOak Fireの様子を捉えました。

7. 史上最悪のペースで広がるアラスカ州の山火事

07_Alaska Fire
Image: NASA

アラスカ州は、6月15日の時点で山火事の焼失面積が100万エーカー(4,047平方キロ。だいたい東京都ふたつ分)を超える、気を失いそうな記録を打ち立てました。同州史上最速の焼失面積100万エーカー超えでした。その後も火の手は衰えず、7月末時点の焼失面積は300万エーカー(1万2140平方キロ)を超えています。アラスカ州の山火事による過去10年間の年平均焼失面積は、約110万エーカー(4,452平方キロ)なので、7カ月で年平均の3倍の面積が焼けたことに。また、他の49州の焼失面積を全部足しても、アラスカの300万エーカーには及びません。6月10日に撮影されたこのランドサット画像は、アラスカで燃え続ける山火事の一部から立ち上る煙を捉えたものです。

8. パキスタンを見舞った壊滅的な洪水

08_Pakistan Flood
Image: NASA

パキスタンでは、6月以降の壊滅的なモンスーンの影響によって、8月に前代未聞の洪水が発生しました。9月3日時点での死者は1,282人を数え、うち子どもが3分の1にのぼるそうです。異常な集中豪雨に端を発した洪水によって国土の3分の1が水没し、3,300万人(人口の14%。およそ7人に1人)が影響を受けています。パキスタンの国土面積の3分の1は、日本に置き換えると本州と四国が沈んだことになります。上空から破壊的な豪雨の痕跡を見ることができます。MODIS衛星が8月末に撮影したパキスタン南部にあるシンド州の画像は、洪水とインダス川の氾濫によってできた長さ100㎞におよぶ「湖」の様子を捉えました。

9. フランスでも熱波による山火事

09_France Fire
Image: European Union, Copernicus Sentinel-2 imagery

ヨーロッパも熱波に見舞われた夏になりました。7月には地中海沿岸の国々で大規模な山火事が発生。特に7月のフランスは1960年代以降で最も乾燥した月になったこともあって、被害が大きくなりました。8月1日にSentinel-2によって撮影された画像では、大西洋沿岸の町、La Teste-de-Buch周辺の焼け跡(赤茶色の部分)を確認できます。

10. スペインでも山火事

10_Spain Fire
Image: European Union, Copernicus Sentinel-2 imagery

フランスの隣国スペインでも、7月に手に負えないレベルの山火事に襲われました。7月11日にスペイン西部Castilla y Léonで発生した山火事は、生態系が豊かな自然公園Natural Park of Las Batuecas-Sierra de Franciaにも影響がおよび、焼失面積は40平方キロを超え、地域住民600人が避難しました。7月13日にSentinel-2が撮影した画像には、火災積雲が写っています。


8月31日で気象的な夏が終わり、秋に入りました。暑さ関連の異常気象シーズンも終了してほしいです。プレーオフもなしでお願いします。

生き地獄のような酷暑がアメリカを襲う。まだやっと夏至を迎えたばかりなのに…

アメリカではヒートドームが各地で高温をもたらしている。今週末は南部や南東部で38度超えの予想も。

https://www.gizmodo.jp/2022/06/high-temperatures-due-to-heat-wave-in-us.html