ガラパゴス諸島で発見されたゾウガメのフェルナンダ、じつは絶滅動物の生き残りだった説

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  • author Isaac Schultz - Gizmodo US
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  • Rina Fukazu
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ガラパゴス諸島で発見されたゾウガメのフェルナンダ、じつは絶滅動物の生き残りだった説
Photo: Courtesy of the Galápagos Conservancy

2022年6月16日の記事を編集して再掲載しています。

100年以上の時を経て…。

一度は絶滅したと思われていたガラパゴス諸島のゾウガメ。2019年にその存在が確認されて、フェルナンダと名付けられました。それが最近のDNAテストの結果によると、なんと1世紀前に確認された生物と同一種であることが明らかになりました。

フェルナンダは何者なのか

ガラパゴス諸島といえば、いわばダーウィンの自然淘汰理論の聖地。なかでも有名だったのは、ピンタ島で発見された世界最後のピンタゾウガメ、ロンサム・ジョージ。2012年に100歳で逝去し、これにより絶滅したと考えられています。

フェルナンダは、溶岩に覆われたフェルナンディナ島に生息する唯一のゾウガメ(女の子)。人間によって生存が確認されたのは、同種でたった2頭目。かなりのレアキャラです。

「ゾウガメは島を移動することもあるため、フェルナンダがガラパゴスのほかの島から移動してきたのか、あるいはフェルナンディナ島原生なのか判断がつかなかった」と米Gizmodoのメール取材でコメントを残してくれたのは、プリンストン大学の動物学者で、今回の論文共著者であるStephen Gaughran氏。

ちなみにゾウガメは泳ぐことはできませんが、(かなり重たいけど)浮くことができるため、激しい嵐が起きれば隣の島へ運ばれることもあるのだとか。また、人間が島間を移動させた可能性もあるといいます。

「これを検証するために、フェルナンダの血液サンプルを採取してゲノム塩基配列を決定づけました」と、同氏。そうして、博物館で保管されていた標本のゲノムと比較したのだといいます。

1世紀前の標本と比較してわかったこと

その結果、フェルナンダの種別は1906年に発見された完模式標本のものと一致したことが明らかに。この2頭は、フェルナンディナ島で発見された種としては唯一のゾウガメで、さらにガラパゴスに現存する12頭のゾウガメや、絶滅したピンタ島のゾウガメとは遺伝的に異なることも示されました。

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Photo: Courtesy of the Galápagos Conservancy
1906年にフェルナンディナ島で発見された唯一のゾウガメ。

DNAテストの結果、ちょっと不思議なことも明らかになりました。フェルナンディナ島のカメは、フェルナンディナから最も遠く離れた島のひとつであるエスパニョーラ島のゾウガメと最も近縁だったみたいです。フェルナンダの祖先がどのようにして西へ向かい、火山島にたどり着いたのかはまだわかっていません。

フェルナンダは、50代で体格のわりに小柄。おそらく栄養となる植物が少ないからだと考えられます。ガラパゴス国立公園にある飼育センターに移送されて、専門家によるケアを受ける予定とのことです。

仲間がいるかもしれないという希望

彼女の存在は、フェルナンディナ島にまだ他のゾウガメが生きている可能性を示してくれています。

以前にも、ガラパゴスゾウガメの種が絶滅したという推察が覆されたことがありました。10年前、ロンサム・ジョージが亡くなったのと同じ年には、フロレアナ島のゾウガメの遺伝的痕跡から、雑種としてまだ生きている可能性が指摘されました。

生き物が絶滅したと決定づけるのが簡単な作業ではないことは、言わずもがなかもしれません。どれだけ調査を重ねても存在が確認できないと、どうしても推察から結論を出すことになります。今回の論文の著者らは今後、フェルナンディナ島の探検を計画しているといいます。もしオスのゾウガメが1頭でも見つかれば、彼らの未来を変えるチャンスはまだ残っているかもしれません。