E.T.っぽいメキシコのミイラ、結局あれはなんなの?

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  • author Passant Rabie - Gizmodo US
  • [原文]
  • 岩田リョウコ
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E.T.っぽいメキシコのミイラ、結局あれはなんなの?
Screenshot: Congreso México

作り物っぽさ、あるけど。

ネットでは、パンチのあるミイラの画像が広がっています。三本の指と後ろに長い頭で、宇宙人の遺体だということです。メキシコで開催された未確認異常現象(UAP)に関する公聴会で提出されたこのミイラ。果たして本当に宇宙人のミイラなのでしょうか?

ジャーナリストでUFO陰謀論者のハイメ・モーサン氏が、公聴会で人間ではない2体の遺体を議員たちにお披露目しました。

どこで発見された?

非常に小さく人形のような遺体は、2017年にペルーのナスカの地上絵の近くで発見され、紀元前1000年のものだそう。モーサン氏は、遺体はメキシコの国立自治大学によって炭素年代測定プロセスを経て分析され、人類ではないことがわかったと主張しているロイター通信が伝えています。

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Screenshot: Congreso México

モーサン氏は「この遺体は人間とは関連性のないもので、さらには我々地球のどんな種とも関連がない、人間ではない標本だということは明確に示されており、どんな科学機関でもこの遺体を調査できる可能性は開かれています」と述べています。

以前にも同じ人物が宇宙人の遺体を発見

モーサン氏が宇宙人のミイラがあると主張をしたのは実は今回が初めてではありません。2018年にはgaia.comとthe-alien-project.comを通じて、宇宙人の起源を持つとされる5体のミイラの映像を公開しています。

しかし、ペルーの研究者たちはこの主張を非難し、その映像のミイラがナスカ文化から人間の遺骸を盗み出し、偽造者によって作られたものである可能性が高いと述べています。

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Screenshot: Congreso México

モーサン氏にはUFOコミュニティで非常に多くのフォロワーがいて、YouTubeチャンネルは約100万人の登録者がいるほど。2018年の主張は捏造されたものと考えられていますが、今回の公聴会に関して宇宙人愛好家たちは大喜びし、ニュースとしてもかなりバズっている状況です。

数学や基礎科学研究に対する助成をおこなうサイモンズ財団の会長であり、NASAのUAP独立研究チームの議長であるDavid Spergel氏は14日の記者会見で、「提出されたサンプルの性質がわからないのですが、メキシコ政府に対する私の提案は、サンプルを世界の科学コミュニティに提供してみて、なにがあるか探ってみては、ということです」とコメントしています。

NASAもアメリカ政府も取り組み始めた未確認異常現象

未確認異常現象については、感情的な陰謀説から科学的な説へとシフトしている最近の動きにもかかわらず、どうしても宇宙人と未確認の現象について議論をすることは未だむずかしく、陰謀説と科学説を分けるはさらにむずかしいことなのは事実です。その例として、7月末にアメリカ議会は未確認異常現象に関する公聴会を開いていますが、陰謀論を信じる人たちが、政府が宇宙人の技術と非人間である「生物学的」なものを隠蔽している!真実を隠そうとしている!と主張しています。

こういった主張は、ほとんど根拠のないものです。科学で向き合おうとしている動きがあるので、NASAの人たちが言うように、一旦陰謀説は置いておいて、しっかりとした科学機関で調査してもらい、これが本当はなんなのか、早く教えてほしいです!